2014年07月08日

HOPパッキンについて

COMBAT DOLL の店主です。

エアガンのチューニングにあたって、重要なのは、BB弾へのパワーの伝達と、HOPの回転の与え方です。

パワーの伝達は、シリンダーやノズル、スプリングレートでの、エアの圧縮比や気密になり、電動ガンの場合はこれにギアやモーター等の駆動系の要素が加わります。

それぞれの方法があり、好みもありますので、いろいろなカスタムが存在している訳です。

ですが、最終的には、BB弾をどれだけ正確に、どのくらい飛ばせるかが、最も重点を置くポイントになっているのが、最近の傾向ではないでしょうか?

その時に重要なのが、BB弾にHOP回転を与える、チャンバーパッキンが重要になってきます。
勿論、インナーバレルもそれに付随する要素で、長さや内径が関係してきますが、今回はパッキンでのHOPの掛け方の違いを、簡単な図説付きで考察していきます。

東京マルイ製の製品状態でのHOP方式になります。

今回の記事に至る理由ですが、

 VSR-10での重量弾使用だと、HOPが効かなくなってしまう!
 GASブロのGM系等、ハンドガン系は、重量弾を使用しているとHOPが弱くなり易い!

 なぜ!?

と、言う問い合わせが多いので、個人的な考察と判断をご紹介させて頂きます。

予め、お断りしておきますが、既存の販売品を否定している訳ではありませんので、ご了承ください。


HOPパッキンについて

まず、電動ガンから開発された、スタンダードな方式のHOPです。
断面での略図になります。

HOPの出っ張りを、インナーバレル内に押し出すのは、小さなゴムチューブが使用されている方式です。
出っ張りの中央部分は、厚みがあり、HOPの掛け(押さえ)具合で、BB弾への引っ掛かりの強弱を調整します。

真ん中の図のように、BB弾が通過しない状態では、このような状態になり、BB弾が通過する際には、右側の図のように、中央部分の厚みのある分が、膨らんで空洞部に逃げます。

パッキンの劣化は、BB弾との磨耗と圧縮による縮み(癖)が原因となりますが、ゴムチューブ部分で分散しますので、結構耐久性が高くなっている状態だと思われます。


VSR-10やハンドガン系の場合は、上の状況とは異なります。

HOPテンションを掛けるパーツの形状です。

HOPパッキンについて

VSR-10や電動ハンドガン等は樹脂製で、GASブロ系は金属製のパーツで押さえますが、中央に空洞があります。

おそらくですが、この形状(H型HOP)のメリットとしては、HOPの出っ張りの肉厚の負担を空洞部分で逃し、BB弾の摩擦抵抗を軽減させて、効率良く回転を与える為の形状としてあるのだと思います。

ただ、修理やカスタムを行って、状況を見ている限り、欠点があります。
HOPを強く掛ける(重量弾に合わせて)為に、押さえをきつくしてしまうと、HOPテンションパーツの中央空洞にパッキンがはまり込む状況になってしまい、癖が付いて戻らなくなるのが早い状態になります。

分解すると、クッキリ跡が付いている物が普通です。
図説のように、極端な状況になれば、2点HOPのような状態になる筈ですが、押さえ付けるストロークが足りなくなってしまいます。

先に挙げている、「HOPが効かなくなる」のは、この状況になってしまうからです。

方式から考えれば、軽量弾を効率良く飛ばす為の方式だと考えられ、GASブロのハンドガンや、電動ハンドガンで採用されているのは納得できます。本体購入時に付属しているのは、0.2gのBB弾なのですから。

また、GASブロのGM系では、HOPの掛かる部分のインナーバレルの切り欠きが大きく取られて(図説右側の濃いグレーのライン)います。
これは、中央への挟み込みを緩和する為にパッキンの圧縮力を分散する為に大きくしてあると考えられます。
その分、押さえる力も分散されてしまう訳です。

ですが、VSR-10ではちょっと疑問ですね。極初期のVSR-10はチューブを採用していましたが、すぐにH型のテンションパーツに変更されています。

純正状態ではありませんが、VSR-10に絡めて、溝付き(Uカット)のHOPパッキンで説明します。

カスタム品に良くあるのが、溝付きのHOP部分のチャンバーパッキンです。

HOPパッキンについて

カットは V もしくは U の字のカットになっている製品ですね。
個人的には、こう判断しています。
 
 Vカット・・・2点加圧重視
 Uカット・・・2点加圧と整流効果

となり、2点加圧は見ての通りで、左右均等にテンションが掛かる事が前提に、インナーバレル内での隙間でズレてしまうBB弾に、左右から押さえる事で中心位置がズレないようにHOPの回転を与えようとされている方式です。 
が、実際は電動ガンに当てはまる方式です。
電動ガンの場合は、タペットプレートのストロークの関係で、BB弾の押し込みが浅く、HOP部分とノズルの間でBB弾が遊んでいる状態になっています。それを改善しようとするタイプのノズルもカスタムパーツで製品化されている物もあります。
電動ガンに限らず、押し込みが浅い構造の物は同様になりますが、GASガンは遊びが無い物がほとんどです。
HOPの出っ張りに挟まる位置まで押し込める構造の物であれば、2点加圧の必要は無いと思っています。

では、整流効果とした U 字カットはどういった状況かと言えば、

Uカットの方が、HOP部分を押さえた時に、溝の隙間が確保されて、その部分にエアが流れ易くなります。
下に押さえ付けられていだBB弾が、HOPの出っ張りを通過する際に、下から押し上げられる形になり、BB弾がバレルの上部に接触し易くなります。
その状態を、カット部分の隙間から、BB弾の上部隙間にも均一にエアを流そうとする事で、バレル内でのBB弾の接触を最低限にし、HOP回転ロスと精度アップを考えた形状になっていると思います。

ただ、どちらも、実際の効果が目に見えませんので、理屈での判断です。
出来上がった、エアガンの性能をもって、判断するしかありません。

BB弾その物の大きさや精度も重要です。ブランドやロットによって性能も変わります。
シリコンスプレーでのメンテナンス状況での摩擦も変わってきますので、使用方法の間違いで、性能が出ない事も普通です。

吐出圧(パワー)とのバランスも重要ですので、使用設定状況に合わせたチューニングが必要ですね。
給排気の効率化も重要です。本体の剛性での干渉状況も重要な要素です。トータルバランスが最も重要なのは変わりありません。

過去記事「ホップについて考察する・・・」の画像も合わせて参考にして頂ければ、HOPパッキンのいろいろな考え方が、読み取れるのではないかと思います。

あくまでも、理屈から考察した、個人的な判断ですので、間違っている事があるかと思います。
この、ブログを読んで頂いたみなさんには、参考意見の一つとしての範囲で、考察材料にして頂ければと思います。


あ、あ~っ!? 今日は小ネタにするつもりだったのですが、説明に熱が入ってしまい、かなりの長文になってしまいました!(涙)

残りの作業頑張ります・・・


     COMBAT DOLL 店主 中根

  奥山デイズにて定例会レギュレーション)  未定

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Posted by コンバットドール  at 22:53 │Comments(0)故障の原因を見極める

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