2013年04月10日
サイレントカスタム「林」 マルイPMC
COMBAT DOLL の店主です。
昨日上げる予定だった、投稿記事です。

今回は、細かく順を追って説明していきます。
クライアント様の希望仕様としては、
ショートバレルの銃で、とにかくウルサイので静かにしたいと言う事と、0.2gBB弾を基準で精度を上げて命中率を良くしたいと言う事の2点です。
使用バッテリーは9.6VNi-cd500mA (ミニセル)です。
クライアント様は、トリガーの引きっぱなしをする様な方ではないので、セミオート時の性能重視でチューニング開始です。
まずは、バレル部分です。

ノーマルで185㎜と短いバレルですが、さらに1cmほど短くしてテーパー加工します。
バレルの根本の仕上げ直しも行います。根元の仕上げ直しは、BB弾が押し込まれる際に傷が付く部分ですので、バリやエッジを落としておくと、集弾性に差がでます。
カスタムバレルを使用しても良いのですが、短いので、ノーマルで十分です。
チャンバーパッキンは、マルイ純正品をそのまま使用します。

アウターバレルとインナーバレルのブレ止めにアルミシートを使いますが、バレルがスムースに動くレベルにしなければなりません。M4系はチャンバーをメカボックスに押し付ける為のスプリングが付いていて、ちゃんと効果のある機能を果たしています。ブレ止めがきつくてスプリングのテンションが効かないと、エアロスが発生して、パワーも命中精度も落ちてしまいます。
それと、1cm短くした理由は、アウターバレルとインナーバレルの差を、テーパー処理した効果を高める為に、二次拡散室として整流効果を上げる為です。これにより、HOP回転による出口付近での気流の乱れを最小限に抑えます。サイレンサーも装備されていますので、外の気流で乱れる前にHOP回転も安定して、弾道が素直になります。
パワーに関しても、1cm程度ならほとんど変わりません。
ただ、元々短いバレルで加速レーンが短いので、HOPがきつめの方が初速が高くなるのと、0.25g弾の方が安定します。クライアント様の要望は0.2gで使用ですので、最大限の効果を狙ったバレルチューニングです。
次は、メカボックス内部ですね。
サイレントチューンですので、当店推薦のロッド関係から行きます。
画像は相変わらずぼかさせて頂いてますが、今回は薄くしてあります。見当の付く方も多いと思いますよ。
近々、HPの方で、概念や図説を入れる予定ですので、掲載後はオープンに致します。
それまではベールの向こう側をお楽しみ下さい。

今回ピストンヘッドはVFCの物を使用します。8つ穴が大きいので圧縮抵抗が高すぎて20cm以下のバレルか、流速チューンでしか使えません。高レートスプリングを使うチューンでは、アルミのピストンヘッドでは変形して壊れてしまいますので、使用条件が限られてしまいますが、今回のチューンではノーマル対比130%程度のものですので、ちょうど良いセッティングです。
ヘッド中央に、ロッド取り付け用のネジ穴を作ります。
ロッドはいくつかのパターンがありますが、今回は画像のタイプの物を使用します。
(既製品の流用パーツです。一目見て解る方はおもちゃ好きな方だとお見受け致します。)
取り付け画像のロッド長は調整される前の物です。今回のチューニング品はもう少し長くしてあります。
消音優先か加速優先かで、ロットの長さや直径を加工調節します。先端形状はVSR-10のロッドのような棒ではなく、エアの流れ方を考慮した形状ですので、流速の違いとブレーキの掛かり方が違ってきます。
マルイのノーマルスプリングでも、秒間20発くらいのサイクルまでなら対応できます。
一番静かになるのは、0.2gBB弾で初速85m/sくらいですね。
ロッドの根本が6角ナットになっていますので、ピストンの前面から突き出す部分の径が太い部分ができてしまいます。ここが収まるようにシリンダーヘッド側も加工が必要です。

シリンダーヘッドの加工画像です。右が加工済みです。ノズルの内径も絞り込んであります。
実際には、タペットプレートでBB弾をローディングするノズルの内径も伸びた時点の空洞を埋めたいのですが、構造上無理があるのでできません。アイデアが無い訳ではないのですが、新しくパーツを作ることになるので、当店では難しいですね。

そして、ピストンの重量調整です。ピストンそのものはノーマル品を使用していますが、今回のヘッドでのウエイト調整では、スラストベアリングだけでは重量が足りません。静かにするだけなら軽い方が良いのですが、命中精度を上げる為に圧縮比を安定させるべく、重量調整です。今回のパーツは亜鉛製です。
ノーマルより気持ち重くなれば良いのと、スプリングテンションを増圧する為に、今回のタイプの物を使用します。ちなみに流用パーツからの加工品です。

ピストンの重量は31g。以前のβスペッツナズのチューニングでのピストン重量30gと同等です。ノーマルピストン24gに対して25%アップですね。
スプリングガイドには、テンション増圧と振動吸収の為のダンパーを増設です。
チューニングパーツのアッセンブルができあがったところで、ボックスとギアですね。
ギアはノーマル品です。カスタム品に変えれば耐久性もアップしますが、現状のチューニングでは、ノーマル品でも耐久性は十分にあります。それでも、負荷の軽減と燃費を考えて6㎜ベアリング軸受けを使用します。
シム調整も当然シビアに行います。軸受けもメーカーによって違いがありますし、メカボックスの状態によっても変わってしまいますが、優先するのはピストンとの噛み合わせ位置とタペットプレートとの合わせ位置です。セクターギアの位置出しをしてから、スパー、ベベルの順で調整します。
6㎜ベアリングの軸受けは、トリガーを引きっぱなしにしてしまう撃ち方には向きません。バリバリ撃ちたい方は、オイルレスメタルか大径のベアリング軸受けを御使用して頂きます。
ピストンがスライドするレール部分の研磨はしっかりやりましょう。マルイのノーマルメカボックスは、簡単な処理でも大丈夫ですが、海外製の一部商品はエッジやバリですごかったりしますので、忘れてはいけません。ここの研磨だけでも初速が変わります。重要なポイントなので要チェックです。

一通り、作業の済んだメカボックスですが、組み上げてからシムの遊びなど再確認が必要ですね。ネジを強く締め込んだら堅くなっている場合もあります。ノズルのはまりも確認しましょう。意外と落とし穴は多かったりしますので・・・。
M4系のメカボックスの場合は、側面のスリットから、ジャダー防止と潤滑の為のグリスを注入します。
スリットの無いメカボックスの場合は、画像の段階でグリスを注入しておきます。
おまけですが、

M4系の場合は、チャージングハンドルにあるスプリングも振動してうるさい場合があります。こんなふうにグリスを塗っておくと振動が吸収されてしずかになりますよ。
今回のPMCサイレントカスタム「林」ですが、初速は0.2gで最大95m/s、HOP適正90m/sです。
0.25gでは、最大88m/s、HOP適正86m/sとなってしまいました。
数字上は0.25gの方が安定していますが、初速と弾道の安定感はかなり向上しています。
肝心の発射音は、空撃ちであれば、ノーマルよりかなり静かになっています。ただ、圧縮効率が良くなっているので、BB弾を発射した時の音は、乾いた音で「パンパン」いってしまうところは変わりませんが、サイレンサーを付けた時の静寂性はアップされています。余分な振動は可能な限り排除させて頂きました。
スコープ装備の銃ですので、静寂性と集弾性の向上をお確かめ頂きたいと思います。
今回はかなり細かく説明してみましたがいかがだったでしょうか?
また、レンジアップなども、やりますが、書く方も大変なので、頻繁にはできません。
基本、個別のチューニングが主体な為、他の機種やメーカーでは効果が発揮できない場合もありますので、部分部分でのチューニングを参考にアレンジ下さい。
クライアント様の要望に沿った、個別チューニングが一番だと思っていますので、ご要望があれば遠慮無くお申し付けください。
COMBAT DOLL 店主 中根
営業時間 月曜日~土曜日 19:00~21:00
定休日 日曜日
年末年始 他 臨時休業あり
TEL 053-450-3308 FAX 同番
メール info@combatdoll.jp
ミリブロのメッセージからでも大丈夫です
昨日上げる予定だった、投稿記事です。
今回は、細かく順を追って説明していきます。
クライアント様の希望仕様としては、
ショートバレルの銃で、とにかくウルサイので静かにしたいと言う事と、0.2gBB弾を基準で精度を上げて命中率を良くしたいと言う事の2点です。
使用バッテリーは9.6VNi-cd500mA (ミニセル)です。
クライアント様は、トリガーの引きっぱなしをする様な方ではないので、セミオート時の性能重視でチューニング開始です。
まずは、バレル部分です。
ノーマルで185㎜と短いバレルですが、さらに1cmほど短くしてテーパー加工します。
バレルの根本の仕上げ直しも行います。根元の仕上げ直しは、BB弾が押し込まれる際に傷が付く部分ですので、バリやエッジを落としておくと、集弾性に差がでます。
カスタムバレルを使用しても良いのですが、短いので、ノーマルで十分です。
チャンバーパッキンは、マルイ純正品をそのまま使用します。
アウターバレルとインナーバレルのブレ止めにアルミシートを使いますが、バレルがスムースに動くレベルにしなければなりません。M4系はチャンバーをメカボックスに押し付ける為のスプリングが付いていて、ちゃんと効果のある機能を果たしています。ブレ止めがきつくてスプリングのテンションが効かないと、エアロスが発生して、パワーも命中精度も落ちてしまいます。
それと、1cm短くした理由は、アウターバレルとインナーバレルの差を、テーパー処理した効果を高める為に、二次拡散室として整流効果を上げる為です。これにより、HOP回転による出口付近での気流の乱れを最小限に抑えます。サイレンサーも装備されていますので、外の気流で乱れる前にHOP回転も安定して、弾道が素直になります。
パワーに関しても、1cm程度ならほとんど変わりません。
ただ、元々短いバレルで加速レーンが短いので、HOPがきつめの方が初速が高くなるのと、0.25g弾の方が安定します。クライアント様の要望は0.2gで使用ですので、最大限の効果を狙ったバレルチューニングです。
次は、メカボックス内部ですね。
サイレントチューンですので、当店推薦のロッド関係から行きます。
画像は相変わらずぼかさせて頂いてますが、今回は薄くしてあります。見当の付く方も多いと思いますよ。
近々、HPの方で、概念や図説を入れる予定ですので、掲載後はオープンに致します。
それまではベールの向こう側をお楽しみ下さい。
今回ピストンヘッドはVFCの物を使用します。8つ穴が大きいので圧縮抵抗が高すぎて20cm以下のバレルか、流速チューンでしか使えません。高レートスプリングを使うチューンでは、アルミのピストンヘッドでは変形して壊れてしまいますので、使用条件が限られてしまいますが、今回のチューンではノーマル対比130%程度のものですので、ちょうど良いセッティングです。
ヘッド中央に、ロッド取り付け用のネジ穴を作ります。
ロッドはいくつかのパターンがありますが、今回は画像のタイプの物を使用します。
(既製品の流用パーツです。一目見て解る方はおもちゃ好きな方だとお見受け致します。)
取り付け画像のロッド長は調整される前の物です。今回のチューニング品はもう少し長くしてあります。
消音優先か加速優先かで、ロットの長さや直径を加工調節します。先端形状はVSR-10のロッドのような棒ではなく、エアの流れ方を考慮した形状ですので、流速の違いとブレーキの掛かり方が違ってきます。
マルイのノーマルスプリングでも、秒間20発くらいのサイクルまでなら対応できます。
一番静かになるのは、0.2gBB弾で初速85m/sくらいですね。
ロッドの根本が6角ナットになっていますので、ピストンの前面から突き出す部分の径が太い部分ができてしまいます。ここが収まるようにシリンダーヘッド側も加工が必要です。
シリンダーヘッドの加工画像です。右が加工済みです。ノズルの内径も絞り込んであります。
実際には、タペットプレートでBB弾をローディングするノズルの内径も伸びた時点の空洞を埋めたいのですが、構造上無理があるのでできません。アイデアが無い訳ではないのですが、新しくパーツを作ることになるので、当店では難しいですね。
そして、ピストンの重量調整です。ピストンそのものはノーマル品を使用していますが、今回のヘッドでのウエイト調整では、スラストベアリングだけでは重量が足りません。静かにするだけなら軽い方が良いのですが、命中精度を上げる為に圧縮比を安定させるべく、重量調整です。今回のパーツは亜鉛製です。
ノーマルより気持ち重くなれば良いのと、スプリングテンションを増圧する為に、今回のタイプの物を使用します。ちなみに流用パーツからの加工品です。
ピストンの重量は31g。以前のβスペッツナズのチューニングでのピストン重量30gと同等です。ノーマルピストン24gに対して25%アップですね。
スプリングガイドには、テンション増圧と振動吸収の為のダンパーを増設です。
チューニングパーツのアッセンブルができあがったところで、ボックスとギアですね。
ギアはノーマル品です。カスタム品に変えれば耐久性もアップしますが、現状のチューニングでは、ノーマル品でも耐久性は十分にあります。それでも、負荷の軽減と燃費を考えて6㎜ベアリング軸受けを使用します。
シム調整も当然シビアに行います。軸受けもメーカーによって違いがありますし、メカボックスの状態によっても変わってしまいますが、優先するのはピストンとの噛み合わせ位置とタペットプレートとの合わせ位置です。セクターギアの位置出しをしてから、スパー、ベベルの順で調整します。
6㎜ベアリングの軸受けは、トリガーを引きっぱなしにしてしまう撃ち方には向きません。バリバリ撃ちたい方は、オイルレスメタルか大径のベアリング軸受けを御使用して頂きます。
ピストンがスライドするレール部分の研磨はしっかりやりましょう。マルイのノーマルメカボックスは、簡単な処理でも大丈夫ですが、海外製の一部商品はエッジやバリですごかったりしますので、忘れてはいけません。ここの研磨だけでも初速が変わります。重要なポイントなので要チェックです。
一通り、作業の済んだメカボックスですが、組み上げてからシムの遊びなど再確認が必要ですね。ネジを強く締め込んだら堅くなっている場合もあります。ノズルのはまりも確認しましょう。意外と落とし穴は多かったりしますので・・・。
M4系のメカボックスの場合は、側面のスリットから、ジャダー防止と潤滑の為のグリスを注入します。
スリットの無いメカボックスの場合は、画像の段階でグリスを注入しておきます。
おまけですが、
M4系の場合は、チャージングハンドルにあるスプリングも振動してうるさい場合があります。こんなふうにグリスを塗っておくと振動が吸収されてしずかになりますよ。
今回のPMCサイレントカスタム「林」ですが、初速は0.2gで最大95m/s、HOP適正90m/sです。
0.25gでは、最大88m/s、HOP適正86m/sとなってしまいました。
数字上は0.25gの方が安定していますが、初速と弾道の安定感はかなり向上しています。
肝心の発射音は、空撃ちであれば、ノーマルよりかなり静かになっています。ただ、圧縮効率が良くなっているので、BB弾を発射した時の音は、乾いた音で「パンパン」いってしまうところは変わりませんが、サイレンサーを付けた時の静寂性はアップされています。余分な振動は可能な限り排除させて頂きました。
スコープ装備の銃ですので、静寂性と集弾性の向上をお確かめ頂きたいと思います。
今回はかなり細かく説明してみましたがいかがだったでしょうか?
また、レンジアップなども、やりますが、書く方も大変なので、頻繁にはできません。
基本、個別のチューニングが主体な為、他の機種やメーカーでは効果が発揮できない場合もありますので、部分部分でのチューニングを参考にアレンジ下さい。
クライアント様の要望に沿った、個別チューニングが一番だと思っていますので、ご要望があれば遠慮無くお申し付けください。
COMBAT DOLL 店主 中根
営業時間 月曜日~土曜日 19:00~21:00
定休日 日曜日
年末年始 他 臨時休業あり
TEL 053-450-3308 FAX 同番
メール info@combatdoll.jp
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